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お鎮守さま(鹿島宮)より金山山頂を望む。

辻口東地区

まだ世間も知らず、夜遊びも知らない小学生の頃から足利の花火の夜は辻口東のNさんちと隣接する道から東田圃のずっ~と先の富若方向の樹木高く森を形成するように見える木々の更にその先方向の夜空に舞い広がる花火に心躍らしたものだった。。
見物定番地であるNさんちと隣接するその道の溜まり場に結構集まると言うか多くの見物人の数は大人も子供も入り混じり、縁台も出たりして、大人たちは団扇を扇ぎ、子供たちは夏の夜の開放感にハシャギ、楽しさ盛り上がる夕涼みの雰囲気へと足利の花火が一生懸命に演出してくれてたようだった花火の夜。もしかしたら俺の夜遊びのルーツは小学校のある時期からTさん家へ毎晩のようにテレビを観させてもらいに行っていたのと、そしてこの花火の夜なんかも知れないと思うこと時にしてある。足利の花火を何年生くらいまでここで見物していたんだろうか、はっきり記憶はしてないが中学2年生くらい迄は見物しに行っていたような気もしているが。 その後成人してからも何度かは同じところへ出向き花火見物したことがあるが、ポツリと一人二人くらいの見物人の人影を目にはするものの静けさが漂い、盛り上がってた小学生頃の花火の夜よ、戻ってくれ!と叫びたい気分になったものである。

久し振りに去年(平成26年)足利花火の見物にそこへ行ってみたが、見ている15分位の時間帯には誰一人居なかったのである。誰も居なかっただけに、暗闇の中にいる自分がなんか時代遅れなことをしていて、且つ充分いい歳してオタク的なことをしているような自分自身への何ともいえない疑問的感覚を感じながらでも、足利花火の火の粉の飛び散り舞う色や形もドーンと鳴り響く破裂音などなどどれもこれもここからの眺望が一番でみんな良い。子供の頃の花火の夜の思い出を絡めながら、心に沈積している花火の夜の懐かしさへの情感も重ねられて足利花火は東田圃に向かって定番地だったこの位置から見る光景が何処よりも一番いい感じの花火の風情がスーッと招来してくるのである。去年、久し振りにここに来て見た花火の夜にそう思うばかりを得た心はもう失せることはありえない。

辻口東地区での遠い思い出の中の一つにそんな花火の日が心に懐かしく楽しく脳裏に定着していて、東田圃に向かって眺めた花火の思い出は絵手紙の絵のようになって素朴な懐かしさが一杯に広がるほどに体中に沈積しているのに、その花火の華麗な火の粉の中に入り込んだ思いの想像からの客観的感受の表現がしたくなるのだが言葉でも文章でも何と表現して良いのかサッパリ浮かばない、分からない、出来ない、永遠のテーマである。

楽しかった花火の思い出は抽象的な言い方になるけど、自分だけに分かる昭和30年代初頭の風物詩を獲得しているかのようである。
おもしろブック、少年、冒険王、少年画報などの当時熱中して読んでたそれぞれの少年雑誌の各所のページにしっかりと押し花として収められてるのに等しいほどの、その時の風情は今も色褪せることなくズーッと心に潜んでいるのである。

辻口東地区の東方面に広角パノラマのように広がる東田圃の内にある道も改修、拡幅されたり、新道も出来たり、送電架線が出来たり等、変貌はしているものの、東西南北に広がるこの東田圃の風景は総体的には当時の景色とそんなに変わってないなと自分では思っている。
この東田圃の一帯を見るたびに、そしてここの辺の道を車で通り抜ける時も、歩く時も………、広々とした田園風景を目にして、それはいつも気持ちのいい開放感を感じ得る爽やかな気分が襲来してくるのである。その清々しくも広がる東田圃方面から見る辻口東の集落の家並みと、その後方に位置して構え立つ金山とを一体化して見る光景に「ふるさとの風景」といった形容が当てはまり、童謡、唱歌のメロディーが奏でられ流れてるのが見えてくるかのようである。

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